缶詰雑学

ご飯の缶詰

 僕が初めて出会った缶詰は「五目めし」の缶詰でありました。大人の掌よりも大きな楕円形の缶で、開ける前に鍋でぐつぐつ20分湯せんするのがセオリー。そうしてフタを開けると、ウマそうな匂いの湯気がどーんと立ち昇る。その光景に心から缶動したのであります。

 このあいだ、その五目めし缶を作っている工場を取材させてもらう機会があり、缶動がさらに深まった。炊いたご飯を缶に詰めているのではなく、生米を詰めてから缶ごと炊き上げていたのであります。ていねいに研いで規定量の水を吸わせた米に、さいの目切りにしたごぼう、人参、たけのこ、椎茸と、ひと口大カットの鶏肉を合わせ(具が五つだから五目なのだ)、缶にぎゅっと詰めてから、蒸気を使ってふっくら炊き上げる。そこにフタをして密封し、あらためて加熱殺菌すれば缶成という、とても手の込んだ行程でありました。

 この「サンヨー堂・めし缶」シリーズは、五目めしの他に牛めし、とりめし、赤飯、チキンドライカレーがあり、とくにチキンドライカレーは劇的にウマい。その名の通り米がドライに仕上がっていて、まるで強火のフライパンであおったようなパラパラ感なのだ。この技術があれば、きっとジャンバラヤとか、パエリアとか、海外のお米料理も再現できるはず。ぜひ新商品で出してほしいものだなァ。

 めし缶は昔から楕円・大型缶(内容量375g)で造られてきたが、2011年の東日本大震災以降、丸い小型缶(同185g)も追加された。ひとりで食べきれる便利サイズになったわけだが、それだけでなく、何と賞味期間を5年に延ばしたのだ。防災備蓄に便利で、普段食べても美味しい。そんな缶詰であります。

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