悪漢との闘いで苦境に陥った主人公が、やおら懐からほうれん草の缶詰を取りだし、ひと息に平らげるや力がみなぎって見事相手をやっつける...というのがアメリカのコミック「ポパイ」であります。
ほうれん草の缶詰はアメリカやイギリスだとメジャーだけど、日本ではまず見かけない。日本のメーカーは造らないし、輸入食品店でもほとんど扱っていない。なぜなら、そのまま食べても美味しくないからである。
缶詰は殺菌のために高温加熱するので、野菜は基本的に柔らかくなってしまう。ましてやそれがほうれん草。指で軽く押すだけで潰れてしまうほどくたくたであります。そんなものを欧米人はどうやって食べているのか。ひょっとしてみんなポパイ式に食べてるのか(まさか)。
その謎が解けたのはイギリスでのこと。とある食品店に入ったときに、カレーの缶詰やスパイス類と同じ棚にほうれん草缶が並んでいたのであります。
それが何を意味するのか? つまり、グリーンカレーを作るためにほうれん草缶を使うのであります。
グリーンカレーの基本的なレシピは、柔らかく煮たほうれん草をミキサーでペーストにし、スパイスやトマトを炒めたところに加えるというもの。どうせ柔らかく煮るなら、最初からくたくたになってる缶詰を使えば缶単なのだ。何と素晴らしい発想でありましょう!
ということは、同じようにミキサーでペーストにしたところにブイヨンなどを加えればほうれん草スープも出来そうだ。ひょっとしてオムレツの具にしてもいいかもしれない。何事も使い方次第なのでありますねェ。