最近、アウトドア雑誌「BE-PAL」の取材を受けた。どんな内容かというと、缶詰はアウトドアと相性がいいという話をしたのだ。
野外で食べる缶詰はウマい。そのまま食べてもいいし、ひと手間加えてもいい。例えばポークアンドビーンズ缶などは、缶つまの「厚切りベーコン」を加えれば肉増しになる。汁気も含めて全体的に増量したいのならトマト缶をひと缶加えてやる。それを焚き火でくつくつと煮込んでいる時間は、普段の都市生活では絶対に味わえない時間なのであります。
かつて70年代から80年代にかけて、日本のアウトドアでは缶詰が必需品だった。とくにキャンプとなると、五目飯や牛飯などが詰まったご飯缶が活躍した。本来は飯盒で生米から炊かねばならないところを(それも愉しいのだが)、缶詰のご飯なら湯せんするだけで食べられる。手間と時間を節約したいときにはうってつけだったのである。おかずにも牛大和煮缶やコンビーフ、ウインナー缶など様々な缶詰が活躍した。
しかしそんな缶詰の黄金時代は90年代から衰退していった。オートキャンプが流行したため、クーラーボックスに生鮮食品を持って行けるようになったのだ。おかげでローストビーフを焼いたり、海鮮バーベキューをやったりと、アウトドアでの食事はどんどんグルメ路線を走り始め、缶詰はいつしか忘れ去られたのであります。
しかし缶詰がアウトドアで便利なことは変わっていない。中でも面白いのは青魚系の缶詰である。満天の星空と渓流のせせらぎ。そして手元にはサバの味噌煮缶。そのギャップが味わい深く、本当にオススメでありますぞ。