缶詰雑学

湯せんマジック

 缶詰をよりおいしく食べるにはどうしたらいいか。さまざまな工夫が考えられるが、もっとも単純な真実はひとつ。「湯せんしてから食べる」ということであります。

 料理用語で湯せんといえば、鍋に湯を沸かし、軽く沸騰した状態を保つよう弱火にしておき、その熱湯で材料を温めることだ。しかし缶詰の湯せんはもっと気軽である。鍋に湯を沸かし、充分に沸騰したら火を止めてしまう。そこに、フタを開ける前の缶詰を放り込むのである。火を止めたあとの熱湯はゆるやかに冷めていくが、それでも3分のあいだに90度は保っているはずだ。さらに、缶詰は金属であるから、熱伝導率が極めて高い。まず缶自体が熱くなり、その熱が中身にじわっと伝わっていくのだ。

 僕の厳密かつ継続的な実験によると、湯せんで温めたもの〜オイルサーディンであれ、牛肉の赤ワイン煮であれ〜は、耐熱容器に移して電子レンジで温めた場合より冷めにくい。それがなぜなのかはまだ判らず、いずれマサチューセッツ工科大学の学生たちに検証してもらおうと思っている。僕の想像では、電子レンジは熱を帯びる部分が偏ってしまう。そのうえ、急激に加熱されるから、オイルサーディンなどは一部の身が弾けてしまうことが多い。対して湯せんの場合、缶全面からほぼ均等に熱が伝わっていくから、中身がまんべんなく温まるのだと推測している。

 かくして湯せんで3分温めたあとは、トングなどで引きあげ、さらに2〜3分放置しておく。そうすればヤケドせずに開けられ、それでいて中身は熱々である。

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