缶詰雑学

牛肉大和煮の真実

 昔からある定番缶詰のひとつが牛肉の大和煮であります。最初に世に出たのは明治21年(1888年)といわれているから、ずいぶん歴史が古い。牛肉缶詰自体は、それよりさらに昔の明治10年に牛肉の佃煮として登場している。牛肉の大和煮はその佃煮をベースにして、新しい味つけとして考案されたのだ。きっと、発売当時は話題になったことだろう。

 大和煮はみなさんもよくご存じの通り、砂糖醤油で具材を煮込んだ料理。しかしこれは普通の料理界には存在しない。和食店に行っても、居酒屋に行っても、大和煮という料理は出てこない。缶詰独自の料理法なのだ。その味は甘辛くて濃厚そのもの。佃煮から生まれたというのがよく判る。

 しかし、現代は砂糖も塩分も控えめが求められる時代である。僕自身も、味つけは薄いほうが好きだ。薄いと感じれば味を足すことが出来るが、最初から濃いと、その味を引くことが出来ないからだ。

 K&Kの「牛肉大和煮」は、その味つけの塩梅がちょうどいい。何よりも使われている肉が素晴らしい。赤身が主体だが、合間にほどよくサシも入っている。全体は美しい赤ワイン色だ。カットも豪快で、肉の厚みは何と5ミリ以上ある(定規で測ってみた)。そんな肉が数枚、ぎっしりと重なって缶に入っているわけだ。まさに缶喜雀躍であります。

 この缶詰を味わうには、一にも二にも湯煎で温めることが肝要。まず香りが良くなるし、脂がほんのり溶けて、肉自体がふわりと柔らかくなるのだ。

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