桜の季節であります。開花予想図を眺めては「今年の花見はどこ行こう?」と、わくわくそわそわする季節であります。
花見というのは花を鑑賞するものだけれども、それと同じくらい大事なのが酒。というより、花見と称したただの宴会じゃないかと思うことしばしば。気心知れた友人とバカ話で盛り上がり、時折、思い出したように花を眺めては「きれいだなー」と幼児並みの感想を述べる。
さて、酒といえばおつまみが欠かせない。僕は毎年、ご近所連中との花見に「コンビーフ・タルタル」という缶詰料理を持参する。ほぐしたコンビーフに玉ねぎ、ピクルス、ケッパー(すべて粗みじん切り)を混ぜこんだもので、味付けはレモン汁とスパイスのみ。いわばコンビーフで作ったパテだが、玉ねぎ等の鮮烈な風味とレモンの香り・酸味が加わって、その味わいは実に爽やか。本来はフォークですくって、そのままぱくぱく食べるものだが、バゲットに塗りつければ軽食にもなる。白ワインにも赤ワインにも合う缶たん料理だ。
ベースになったのは、フランスで食べた「ステーキ・タルタル」という料理。生の牛肉を細かく叩き切り、そこに玉ねぎ、ピクルス、ケッパーのみじん切りを混ぜこんだものが基本で、食べる前にレモン汁と黒こしょうを掛ける。味の想像が付きにくいかもしれないが、まあイメージとしては韓国料理のユッケに近い。つまりコンビーフ・タルタルは、生の牛肉をコンビーフに替えただけなのだ。
今年もコンビーフを5缶使って持参するつもりである。