缶詰雑学
コンビーフの話
コンビーフに思い入れのある人は多い。中でも中高年の男となると、一家言も二家言もあるという人が多い。
このあいだ札幌テレビ(日テレ系列)に出演したとき、福永俊介アナウンサーがコンビーフの想い出について語り出してしまい、僕もそれに乗っかってしまい、次の話題になかなか移れなかったことがあった。
「鍵みたいので開けるでしょ! あれがいいんだ!」
いい大人が、眼をきらきら輝かせ、巻き取り鍵でくるくる開けていく様子をジェスチャーで説明してくれるのだ。そのあと実際に開けてもらったのだが、福永アナはさすがに上手で、本番一発で“上級者”の開け方を披露した(イラスト参照)。それを僕が褒めたものだから、またまたコンビーフの話題だけで盛り上がった。その結果、生放送だったその番組は後ろに時間を押していき、缶詰コーナーは当初の予定時間を大幅に超え、あいだにニュースを挟んで急遽2部構成となったのだった。
コンビーフは男性が好む缶詰である。女性の中にもコンビーフ好きはいるが、開け方がどうこうといった部分にこだわる人はいない。あくまでも料理材料のひとつとして冷静に見ているだけである。
そこにいくと、男はどうしてコンビーフごときでコーフンするのだろうか。やはり、肉のかたまりをがぶがぶ食べられるということで、何か人間の原初的なヨロコビが満たされるのだろうか。何しろ、あのかたまりすべてが肉と脂なのである。それにやや塩辛い味付けをして、そのまま食べられる状態なのである。ああ、今夜はコンビーフ食べよう。