缶詰雑学
デザインの話し
外国の缶詰にはデザインの素晴らしいものが多い。それはもう、眺めているだけでわくわくしてくる。
もっとも有名なのはキャンベルのスープ缶だと思う。上下を赤と白の2色に塗り分け、上には大きな筆記体でキャンベルの文字。下には品名〜トマトスープとかチキンヌードルスープとか〜が力強い書体で書かれている。それだけの簡素なデザインなのだが、よく目立ち、かつ見飽きない。アンディ・ウォーホルが描きたくなったのも頷けるんであります。
ポルトガルのオイルサーディンにもユニークなものがある。ボール紙のような粗い紙箱入りで、その箱に魚のイラストレーションが描かれている。何種類かパターンがあって、魚がひげを生やして帽子を被っていたり(船長風)、ミロのモダンアートみたいなやつもある。それぞれとても可愛らしいが、とてもサーディン(いわし)に見えないのが特徴である。
僕が一番気に入っているのはフランスのツナ缶だ。全面が黄色で、その上に鮮やかなライムグリーンの配色。繊細なタッチのペン画は、シトロンの切り身とオリーブを表している。ほかはメーカー名と商品名、材料の表記だけで、訳してみれば「ツナのシトロン味 エクストラバージン・オリーブオイル入り」ということになるが、面白いのはどこにもツナの絵が描かれていない点。文字を読まないかぎり、中身が何なのかまったく判らない。
日本の缶詰は中身をきちんと表しているものがほとんどで、それは親切ではあるのだが、もっと遊び心があってもいいと思う。広重の版画風とか、あってもいいなァ。