缶詰雑学

料理欲

美味しい缶詰を知ると、それで何か料理を作りたくなる。これは真実であります。
「美味しいんなら、そのまま食べればいいではないか」という意見もあると思うが、それは取りあえず横に置いといて。読者諸賢が料理好きという前提のもとに、話しを進めたい。

例えば、脂の乗った激ウマさば缶などを食べると、そこに(ぽん酢を垂らそうか)とか、(七味唐辛子をたっぷりかけようか)とか、ちょいとひと手間を加えたくなる。それはつまり、より自分好みの味に変えたいという欲求なのだ。
これがどうでもいいようなお味の缶詰だと、そんな欲求は起こらない。ひと手間加えるのも面倒で、そのまま最後まで食べきってしまう。

「びわ湖産稚鮎油漬け」という缶詰を知ったときも、僕はモーレツに料理欲求が起こった。目も口も内臓もついた状態、つまりは丸のままの稚鮎を、オイルサーディンのように油漬けにしてある。味つけはごくあっさりとした塩味のみ。だから鮎特有の爽やかな苦みが愉しめて、それこそ清酒にばっちり合う。

しかし、ふた口目を食べたときに確信した。これは洋風にアレンジしてもイケると。そこでじっくり焼いたネギにルッコラを敷き、上に稚鮎を乗せてパルミジャーノ的なハードチーズをトッピング。こうすると和の味わいだったのが一転して、白ワインが欲しくなる。
(缶の油を使ってアヒージョにしてもいいな。そしたら赤ワインもイケるかもな・・・)妄想は止まらないのだ。

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